秋葉原無差別殺傷事件について思う

まず、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00066.htm
より

「会社に居場所なくなった」加藤容疑者が供述

 東京・秋葉原で8日、通行人らがナイフで刺されるなどして7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)(静岡県裾野市)が、「会社(派遣先)に居場所がなくなった」と供述していることがわかった。


 加藤容疑者は事件の3日前、派遣先で作業服がなくなったと思い込み、職場を飛び出す騒ぎを起こしたほか、「2〜3日前に犯行を決意した」と話していることから、同庁では、このトラブルが無差別殺人の引き金になった疑いがあるとみている。

 同庁は9日、加藤容疑者が運転していたレンタカーなどを検証し、ナイフ3本と特殊警棒を押収。犯行に使ったダガーナイフも含め、ナイフ計5本を用意していたという。加藤容疑者は「福井県内の店で買った」と供述している。

 同庁幹部によると、加藤容疑者は話が家族に及ぶと涙を流しながらも、調べには素直に応じ、「事件前日も秋葉原に行き、ゲームソフトを処分してレンタカー代の足しにした」と供述しているという。

 派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(裾野市)の同僚男性(34)によると、5日午前6時過ぎ、出勤した加藤容疑者は自分の作業服が見当たらないことに怒り、別人の作業服をめちゃくちゃにした後、無断で帰ったという。加藤容疑者は以前から、派遣契約を打ち切られるのではないかという不安を同僚に漏らしており、同僚は「クビになったと勘違いしたのではないか」と話している。
(2008年6月10日03時04分 読売新聞)

まず初めに、犠牲者の方々のご冥福をお祈りする、そして、何の罪もない人々を殺した容疑者に対して私は同情はしていない。しかし、上のニュースの出来事が、容疑者を犯行に駆り立てた一因ではないかと思う。
私がここでわざわざいうまでもないことだが、派遣という仕組みにはいろいろ問題がある。で、「クビになったと勘違い」したのでは、ということだが、確かこの自動車工場、200人の派遣のうち、150人を切るというう話がでていたそうだ(なので容疑者も本当は150人のうちに入っていたのだが、こんな騒ぎになったので容疑者はクビではなかった、ということになってるんではないか?という疑いが私の中にはある)。
これを、とある大企業の正社員2000人のうち1500人を切る、という話に置き換えて考えてみると、このひどさが明確になる。しかしこれが「派遣」の話になると、「派遣なら仕方ない」となってしまうのである。いつクビを切られるかわからない不安、登録している派遣会社には中間搾取(派遣会社にいわせれば正当な手数料だというのだろうが・・・)されるのも「派遣なら仕方ない」で片付いてしまうのである。いつから日本は人材を使い捨てる国に成り下がったのだろう。そして一方では移民の受け入れを進めているんだから、いいかげんにしてほしい。
私は、いろんな働き方があってもいい、真の意味での雇用の流動化が期待できる、という理由から派遣制度自体がなくなるべきだとは思っていない。しかし、この制度が安い労働力を求める企業とピンハネで甘い汁を吸う派遣会社のためだけに運用されているといわざるをえない今の状況はおかしいと思う。まず、派遣先と派遣元双方を監視する、もっと厳しい基準を設けてほしい。
福田総理は、この事件の背景を調査するように指示したらしいが、やっぱりこの政府、悪い意味で期待を裏切らない動きを見せてくれている。

http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY200806090051.html
より

銃刀規制強化「よく考える」 秋葉原事件町村官房長官

2008年6月9日12時13分

 町村官房長官は9日の記者会見で、東京・秋葉原で起きた連続殺傷事件について「本当に忌まわしい凶行だ」と述べたうえで、刃渡り13センチのサバイバルナイフが凶器となったことに触れ、「6センチを超えるものは正当な理由なく持ってはいけないという銃刀法の規制はあるが、現実には出回っている。規制強化(のあり方)をよく考えなければならない」と語った。

うーん・・・何か、問題点がずれてないだろうか。銃刀法の規制強化をしたところで、違うものを使われたらおしまいではないか。例えば包丁とか。包丁ならサバイバルナイフほどたくさん人は刺せないから、なんていう話もきくけど、今回の事件ではまず容疑者は「トラック」で歩行者天国に突っ込んでる。町村さん、「トラック」も規制強化するんですかw
さらに、一部マスコミも偏った記事を書き始めてる。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00134361.html
より

東京・秋葉原無差別殺傷事件 加藤智大容疑者、事件3日前に職場で激怒、奇声発する
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂の現行犯で逮捕された加藤智大容疑者(25)の素顔を同じ工場で働いていた同僚が語った。
加藤容疑者の同僚は「普通に好かれるタイプだったと思います。まじめで、誰に対しても同じように接する」と語った。
一方で、この同僚は「3日前ぐらいに無断欠勤をした。その時、キレて会社を帰ったらしい。(職場でも話題に?)なりました。少し前に、怒鳴り声が聞こえたことがあった、仕事中に。それも彼だったと誰かから聞いた。(キレ具合は?)すごい変だったと言っていた。奇声ですね、『ふざけんな』みたいな」と語った。
一部報道によると、5日朝に出勤した時に、「自分の作業着がない」と激怒し、そのまま会社に来なくなったという。
また、働いていた工場ではリストラも検討されていて、同僚は「(加藤容疑者が冗談で)青森に帰って、また安い時給のバイトでも見つけるとか言ってました」と語った。
また加藤容疑者について、同僚は「飲みに行くというか、遊びに行く。サーキットに。職場の仲のいい人がいたので。車が好きなのかなと思っていた。いつも、車の雑誌とか読んでた」と語った。
また、自衛隊の装備品に対して、強い興味を持っていたという。
同僚は「僕が元自衛隊だったので、『自衛隊の用品はどこで買えるか?』と」と語った。
また、別の同僚によると、加藤容疑者の部屋は、同人漫画誌が数冊ある程度で、物はなく殺風景だという。
そして加藤容疑者は、カラオケでアニメソングばかりで、「アニメなど2次元世界にしか興味がない」と公言していたという。

(06/09 18:32)

何か違和感を感じるこのニュース。そう、「派遣」を匂わす文言が全くないのだ。加藤容疑者の趣味・興味の対象を「同僚」と称する人間が語ったことにして並べているのだが、何がいいたいんだ、という感じである。
・・・もっと違うニュースソースを。これはさらにとんでもない。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/151722/
より(長いので一部引用)

秋葉原無差別殺人、男の素顔…ロリコン、スピード狂

一方で、同僚男性は加藤容疑者のスピード狂の一面について「富士スピードウェイや平塚のサーキット場に連れて行ってもらった。一緒にカートに乗ってタイムを競ったんだけど、とんでもなく速かった。以前はスポーツカーのGTRに乗ってたとも言っていた」と証言。別の同僚(21)には「将来トラック関係の仕事に就きたい」と夢を語ることもあったという。

サーキットのカートでとんでもなく速く走る=スピード狂、なんですか?!じゃあレーサーはみんなスピード狂になりませんか?
容疑者に対する怒りはもちろんだが、問題点がどんどんずれていく報道・政府の姿勢も腹が立つ。