電車の中で

妊婦になると電車で席を譲っていただくようになった。ちなみに私に今まで席を譲ってくれた方、というのは、30代〜50代くらいの女性ばかりで、彼女らは自分のまん前に妊婦が立ってなくても、自分が優先座席に座っていなくても、「座り〜」「お大事にね」と言いながらわざわざ私を呼んで自分の席を譲ってくれるのである。
で、母親学級の帰り道もそうだった。帰りの電車は、ちょっと混んでいた。座れそうにないなあ、とお思いつつ、ダメモトで優先座席付近の扉から乗車した。案の定、優先座席は満杯で、おまけに私が乗ってくると明らかに視線を外してうつむく人もいる。ありゃ( ゚Д゚)。
でも、体調のよし悪しはパッと見ただけではわからないこともある。優先座席に一見元気そうな人が座っているように見えても、どんな事情や病気があるかはわからないのだ。そう、決め付けてはいけない。病気の人なら、妊婦さんに席を譲る必要はないし、私もそういう方の席に座るつもりはない。大体、電車なんてものは指定席取らない限り座れるかどうかはわからないのだ。幸い今日はトラブルがないし、譲ってもらわなくても大丈夫だろう。とはいえ、安定のよい場所に立ちたいので、どこかいい場所はないか、と思いつつ、車内を一瞥してみた。すると、普通座席に座って私の方を見ていた数名が明らかに私から視線を外してうつむいた。
ありゃ( ゚Д゚)。・・・違うってば、立つ場所探してるだけだってば。ますます居心地悪くなってきた。仕方ないので、動くことはやめ(私が動くと今度は寝たふりする人がry)手近の扉脇の鉄棒を持ち、座席に座っている人々に背を向け、なるべく扉側に立った。これでこの車内の人々にプレッシャーを与えることはもうあるまい。電車が発車した。
(´・ω・`)・・・この居心地の悪さは何だろうか。私が知らず知らずのうちに「座りたい」光線を顔から出していたのだろうか。お腹が目立たないような服を探すか・・・いや、それはもう無理だしなあ。なんてことを考えていると、3mくらい向こうから、50代くらいのおばちゃんが近寄ってきて「座り。」といってくれた。電車中の視線が集中している。私はお礼を言って、ありがたく座らせてもらった。おばちゃんは気を遣わせまいと思ったのか、私からかなり離れた場所まで移動して、立っていた。
降りる時、もう一度その人にお礼を言おうと思ったが、その人は私と同じ駅で下車したものの、あっという間に人ごみに紛れて見えなくなってしまった。
妊婦になって、人情に出会えることが多くなった。妊婦になってよかった。( ;∀;)